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血は立ったまま眠っている@シアターコクーン 2/7

舞台

観てまいりました〜。

1回しか観ないので、「よくわからなかった」という感想になるのはいやだなあと思い、戯曲は予習してから行きました。なので、難しい!と思ったりすることはあんまりなかったです。

観終わって最初に思ったのは「やべえ!剛つんがいろんな人に見つかっちゃう!!」でした。
すみません!
だって、こんなに華があって動けて、アウトローなのに透明感があってピュアな役者、みんな使いたくなるにきまってる…。
新感線も良かったけど、劇団がまだ若い感じがするし
今回は寺山×蜷川ってことでもっと上の方の人たちに「これはいい役者!」「ジャニーズなのに!」と"発見"されてしまいそうで…そんなのこっちはずっと前から知ってたんですけどー!と言いたくなるような事態になるのではないかと。
そこまで考えて、あっ私また見えない敵と戦っている!と思ったのでした。

いやでも「剛つんってこんなに声出てたっけ?」とびっくり。
後ろ向いてしゃべっててもしっかり聞こえるし、感情の静まる場面でもぼそぼそしなくて、すっと身体にしみこんでくるような素敵な声だった。
動きの敏捷性は相変わらず。なんて「すばしっこい」って言葉の似合う人…。
あれ、30歳なんですよ。なんなの。

以下ネタバレです

舞台自体は2つの流れが同時に進行しているけど、特につながってはいない。
主な流れとしては下手の3人(良、灰男、夏美)なんだけど、話がこれだけだったら、正直おもしろくなかっただろうなーと思います。
床屋のまわりの住人達は、舞台の空気を作りだしていた。
それは時代の空気、みたいなものだったのかなあと思いましたが…。
初演時、実際にその時代に生きていた人たちはどう思ったんだろう。
後から観ればこそ、「これが1960年かあ」って感じるものだろうか。

テロリストの方だけを見ると、「安保」「自由」といったキーワードは出てきて、夏美はガンガン犯されるわでなかなかデンジャラスな感じですが、苦悩も行動もある意味、現代でもアリなストーリーだと思う。
床屋まわりの人たちは、違うかな。雑多で露骨でいかがわしい。
整然となる前の日本、みたいなイメージ。
なんとなく、中国に旅行した時の、路地裏のあたりを思い出しました。

しかし、個人的な感想を言えば…安保闘争っていうのは具体化できるほど近くもなく、抽象化できるほど遠くもなく、まるで時代の中でぽっかりとあいた穴のように感じます。
戦国時代、とか幕末、とか日露戦争、とかの方がまだ色々と感情移入ができそうな気がする。
私の大学は微妙に学生運動の残り香がありましたが、「見ちゃいけません」「関わっちゃいけません」という存在だったし。
そういった曖昧な知識が、安保闘争と、あんまり見ないように気にしないようにしていた大学にあった立て看板やビラやスピーカーで演説をする人と結びついて、なんとなく収まりの悪い気持ちになる。
「自分だったら」みたいに想像しようとも、ならないし…。

そうして舞台を観て、熱狂に巻き込まれつつも、誰に感情移入するわけでもなく「観ているだけ」の存在であった時に、客席に鏡が向けられたところが、非常に印象的でした。
最初の転換時もあったけど、最後にまた出てくる鏡に、ばっちり客席の人たちが映っているんですね。
私自身は映りこむような席ではなかったですが…。
あそこに映っているものを「観客」というものの総体と考えると、やっぱり私だったのかな?
扇情的な音楽、色とりどりの舞台美術、良の苦悩。
それを客席でお行儀良くみているのが、観客である私です。

観ている人によってどんな舞台かは、いろいろ変わってくるかとは思いますが、この舞台は私にとって、時代も、自分も、どんどん相対化させられていくような感覚をうったえてくるものでした。
じゃあ相対化されて出てきたものが何か、と言われると、なんとなく答えづらいんですけど…自分のことだからもごもごしてしまう。
同時に、これは私がジャニヲタだからかもしれないですけども、床屋のまわりの人たちも観客も、良の物語のための舞台装置のようだった。
舞台のセットを物語のイメージに沿ったものとしてこしらえるように、良の物語に沿った人たち、物語に沿った犯罪、物語に沿った空気を作り出す装置。
客席の視線も大半は良に向いていたし…。
その時点で、もう、良の物語にしか成り得ないと思うんです。

私にとっては、こんな感じの舞台でした。
読み返すと、何を言いたいのかいまいちはっきりしなくてすみません…。
「良の物語」ってよくよく考えると、なんなんだろうねえ。
良の恋していた自由が、実は舞台装置になっていた床屋のまわりの人たちや、観客の中にある、と考えるとものすごくきれいに閉じる気がするんだけど。
きれいすぎて、解釈としてはずるいような気もしますね。
もちろん、良に共感して「自由を求めている!」と言う人もいるだろうし。そういうところを意図してるのかもしれないし。

萌えどころや出演者の感想も書きたかったけど力尽きた…
おやすみなさい。