【実録ルポ】本当にあったマッチカウントダウン

これは、本当にあった12月31日の話である。

 

その日我々は期待を胸に東京ドームへ向かっていた。今年はTV中継のないJohnny’s Countdown Concert…放映がないことは残念であったが、逆に中断されることなくコンサートを楽しめるのではないかと予想していたのだ。23時、会場の電気が落ち、ドームは歓声に満ちた。

(週刊誌のルポ風にしようとしたものの、慣れていないため怖い話と芸風が混ざってしまったことは否めない。また不快に思われる方がいないように配慮したつもりであるが、茶化している部分が多々存在することを予めご注意願いたい)

23:00〜

ええじゃないか(ジャニーズWEST)
LET'S GO WEST~K A N S A !!!(ジャニーズWEST)
ジパング・おおきに大作戦(ジャニーズWEST)
Crazy Accel(A.B.C-Z)
Za ABC~5stars~(A.B.C-Z)
SPACE TRAVELERS(A.B.C-Z)
男 never give up(Sexy Zone)
君にHITOMEBORE(Sexy Zone)
King & Queen & Joker(Sexy Zone)
ウィークエンダー(Hey! Say! JUMP)
Come On A My House(Hey! Say! JUMP)
明日へのYELL(Hey! Say! JUMP)
KAGUYA(NEWS)
愛言葉(NEWS)
Venus(タッキー&翼)
We are the T&T(タッキー&翼)
夢物語(タッキー&翼)

誰もが知っている選曲に大いに盛り上がる会場、しかし我々はここで気づくべきだった。「今年の曲を歌い過ぎではないか?」と。例年でいえば、23時開演から23時45分のTV中継開始まで、知名度は高いがその年に発売していない歌、またはその年に発売したが一番の推し曲ではない歌を披露するのがセオリーだった。なぜならこの時間はあくまで会場に向けた前座であり、放映される部分が本編だからだ。前座としてマニアック曲を披露することもあるからこそ、コアなジャニヲタが楽しみにしていた部分…だがどのグループも2014年に出した曲、2015年に出す新曲を惜しみなく投入して来た。冷静に考えていれば、ここから導かれる解はひとつしかなかったのかもしれない。既に散々酒を摂取していた我々には思いもよらなかったのだ…。

愛のかたまり(KinKi Kids)
SPEAK LOW(KinKi Kids)
硝子の少年(KinKi Kids)
ボクの背中には羽根がある(KinKi Kids)
ジェットコースター・ロマンス(KinKi Kids)
鍵のない箱(KinKi Kids)
君だけに(東山紀之植草克秀)

満を持して登場したKinKi Kids。名曲『愛のかたまり』イントロに沸く会場だが、まばゆい光を背にメインステージ上空に伸びるステージから現れた2人の姿、そして死の予感を見せる静謐なアレンジに乗せられた歌声に聴き入るほかなかった*1。会場に集ったプロ叫び厨も入り込む隙間がない。急に登場する生バンド&オーケストラ、おもむろにギターを取り出しアルバム曲『SPEAK LOW』を披露、会場内セットを駆使し、ファンも『ジェットコースター・ロマンス』で他のファンにわからないペンライトの振り付け*2を始めるなど我が物顔のKinKi Kidsだったが、批判する者はいなかったはずだ。東京ドームのセット自体がKinKi Kidsコンサートのためのものであったし、何より昨年のカウントダウンコンサートを見てもこの後若手メインの構成となるだろうことは予想されていた。
そして現れた少年隊の2名もあたたかな空気で迎えられていた*3。「窓口が違うから一緒に仕事しない」という発言で波紋を呼び続けている錦織・植草の2名と東山*4。窓口を超えた仕事に植草と東山が集ったものの、錦織が揃わなかったことに対して悲しみと違和感はあった。しかし翌日から帝国劇場での公演を控えていた身であれば仕方ないということになっていた。

Let's Go!(近藤真彦+全員)

全員が集合すると、ステージ上は華やかな賑わいを見せた。やたら「エービーシー*5のピンク、髪短すぎ!」といじられる戸塚祥太は敬礼で対応。そして「あの人が足りないですね!」と騒がれてハーレーで颯爽と登場するマッチ。想定の範囲内、これぞジャニーズカウントダウンだ。ただ、『Let’s Go!』は2012年に発表された曲でジャニヲタにも知名度が低かった。

24:00〜

What's your name?(東山紀之植草克秀+全員)
仮面舞踏会(東山紀之植草克秀)

特に風船も出ない若干簡素なカウントダウンを終え新年を迎えた1発目、コアなジャニヲタに人気の曲『What's your name?』*6を歌う少年隊は輝いていた。バックについた後輩達はみな「What's your name?」と記された白の長袖Tシャツを着用して踊っている*7。感涙ものの図に、このコンサートはいいものとなるに違いないと思った瞬間だった。
余談だが、30日のKinKi Kidsコンサートで堂本光一が「カウントダウンで衝撃的なことが起こる」と言ってたのはこの「What's your name?」Tシャツのことであった。一部のJr.ファンがデビュー発表ではないかと色めきたったものの、結局ただのお騒がせ発言だったことが発覚したが、ファンの間では「生粋のエリート育ちであるが故、簡素な衣装に我慢ならなかったのだろう」という萌え案件として処理された。また「Tシャツがワンサイズだったから自分の胸のあたりがピチピチすぎて乳首が浮き出るんじゃないかと心配だった」と何度も胸筋のアピールをしていたことも併記しておこう*8

24:15〜

スニーカーぶる~す(近藤真彦)
ブルージーンズメモリー(近藤真彦)
ハイティーン・ブギ(近藤真彦)
ギンギラギンにさりげなく(近藤真彦)
愚か者(近藤真彦岡本健一)

フロートに乗り込み、下手より外周をまわりながら歌い出すマッチ。「お…遅い」呻くヲタ。牛歩とも呼べるスピードで、マッチは4曲かけて半周し、バックステージへたどり着いた。通常のコンサートでいえば1曲で進む行程を、たった一人で歌い上げながら。
だが、元気な者もいた。「まさひこクーン!!」「まさひこー!!」マッチ担だ!力をなくした東京ドームに、強い声が響く。バックステージ前一帯に、マッチ担と少年隊担が集められていた。「例年よりも客の年齢層が高いようだな」自分のうちわを見つけ、マッチは微笑んだ。岡本健一も、にこやかに頷いた。
そこはつっこみどころではあったが、KinKi Kidsだってあれだけ歌ったのだ。マッチの持ち時間があるのは仕方ない。50歳でもスマートな体型を保つマッチは客観的に見てもかっこ良いことは確かだった。マッチは功労者、おおいにねぎらおう。このあとジャニーズスーパーヒットメドレーやシャッフルメドレーなど若手を中心とした疾走感のある展開が待ち受けているに違いない…。

ヨイショ!(近藤真彦ジャニーズWEST)
ヨコハマ チーク(近藤真彦Hey! Say! JUMP)
ホレたぜ!乾杯(近藤真彦+NEWS)
真夏の一秒(近藤真彦タッキー&翼)
心ざんばら(近藤真彦KinKi Kids)

「全部マッチの歌かよ…!!!!」

ジャニヲタの心はざんばらとなった。

アンダルシアに憧れて(近藤真彦+全員)

聞き覚えのあるイントロ、ジャニヲタの心のふるさとのひとつ、アンダルシアだ。やっと望むものが見れる…誰もがそう思ったに違いない。だがマッチはマイクを離さない。1サビまで歌い切った頃合いになり、ようやくバックに出て来たのが東山紀之堂本光一…この2人の存在に我々はどれだけ救われただろうか。その後全員が登場し、最後の8小節ほど踊った*9。いつのまにかA.B.C-ZSexy Zoneはいなくなっていた。

24:30〜

また全員がステージへ揃った。今度こそ救われる?せめて『明日が聴こえる』くらいは…この際『はつうた』でもいい。希望を失わない瞳で見つめていたそのとき、「スペシャルな人が到着しました」とアナウンス。もしかしてSMAPTOKIO?V6? 嵐?いや…サイレンの音だ!パトカー登場*10に混乱する客席。現れたのは黒柳徹子だった。

「紅白から急いできたらパトカーに捕まっちゃって、『急いでいるんです』と言ったら乗せてくれた」
「マッチのことは16歳くらいから知ってるけど、ほんといいかげんね」

ポシェットや携帯電話などの私物を見せながら、マッチとの思い出を話す黒柳徹子。「そのドレスはどこのホテルのカーテンですか?」怖いものなしの堂本光一。「これじゃ徹子の部屋じゃなくて徹子のドームだよ(笑)」飛び出すジャニーズジョーク*11。我々は徹子のドームに8,500円を払った覚えはなかったのだが…*12。ジャニーズタレントに囲まれる徹子の姿に、故・森光子の姿が重なった。徹子は現役の一流司会者でもあるので、「いいかげん」を連呼して次の曲につなげてくれようとしたが、段取りが変わったのか、何もつながらないまま退場していった。

いいかげん(近藤真彦+全員)
Baby Rose(近藤真彦+全員)

全員で歌った『いいかげん』ではJr.が出て来て「いいかげん」と胸に書かれたブルゾンを先輩方に着せてくれた。大体シミズオクトの白いバージョンとして思い浮かべてもらえたら間違いない。そして『Baby Rose』。「みんな一緒に歌ってくれ!」と言われたが、けっこうなジャニヲタの我々でも歌えなかった。「まだアンダルシアの方が歌える」後に居酒屋で語られた言葉に、うなずく他なかった。

「もう音出しが限界」という言葉に「えー!」と抗議する会場だったが、「もう1回」とねだる者はほとんどいなかった。もう1回…もし歌ってくれたとしてもきっとマッチの曲だ。
少年隊は「ぜひ今度は3人で」と言われて「そうだね、何かやりたいね」「よろしくね」と話していた。これには会場もあたたかい拍手を送った。マッチ無双が行われる中、少年隊は特に何もしていないのに勝手に株が上がっていたのだ。後輩グループはそれぞれセンターの者がKinKi Kidsにいじられていった。ジャニーズWEST*13では重岡が「鼻つまってる?」と3回も言われ*14Hey! Say! JUMPの山田が「耳鼻科に行かないようにがんばりたいです」とのっかる。NEWS*15手越は「子猫ちゃんたち〜」芸を要求され*16タッキー&翼は「どっちつくー?どっちつくー?」とぶっこまれて慌てていた*17。最後に堂本光一が「SMAPの中居君も言ってたけど、我々ジャニーズファミリーが全員で集まれる場を作りたい」と言外に何かをちらつかせ、堂本剛が「家に帰ったらKinKi Kidsの『Family』を聴いてもらって」と受ける*18。小声で「おやすみなさ〜い」と言ってはけていった姿に、キンキ担はかなり救われただろう。せっかく年男なのに、何も期待したことは起きなかったが…*19

 

これが本当にあったマッチカウントダウンコンサートだ。一体誰が悪かったのだろうか?きっと、マッチもただの歯車にすぎないのだろう。東京ドームの真ん中で「若い子はみんな、俺の歌なんか知らないよ」とこぼす姿に、少し切なくなる場面も存在したのだ。そして若いグループ、そこまで若くないが若い方のグループはきっと、「もっと会場を沸かせられた」と悔しく思っていたはずだ。

でもまあ、ジャニーズなんてこんなものじゃないか。わけのわからない理不尽な仕打ちに、ふだんはバラバラのファンがいっときひとつの感情を共有し「あれはひどかった」と語りあう。例えばAKBが意図的にしかけているかもしれないことが、ただただ良かれと思って起こる。それがジャニーズというものだと改めて身にしみた2015年のスタートだった。ほら、あなたの自担にもきっとまた何かが……。

 

・追記:マッチさんから受けた衝撃についてあややさんがたっぷり書いてくれました!

*1:前の席のウェスト担が「すごい…すごい…」と言っていましたよ

*2:しかしこれは今回のコンサートで急にはじまったつよしのペンライト講座によるものだったうえ、後に光一さんに「よそのグループがいるところでやったら恥ずかしいからやめてね。俺らだけの秘密にしようや!」と言われる

*3:左右にうちわ持参の克担がいて、「君だけに」の振り付けが完璧だったのでまねした

*4:リハではヒガシ様が歌いながら「克ちゃん違う」と指摘していてほほえましかったらしい。かわいい

*5:Zをどこかに忘れて来ている光一さん

*6:プレゾンで歌ってるからJr.担にも人気の印象

*7:リハのときつよしにぶつかっちゃったJr.がいたらしく、あとで打ち合わせしてたら待ってる子がいて「先ほどはぶつかってしまい、申し訳ありませんでした!」と謝られたらしいと1日のコンサートで語る。「そのJr.が今日来てます!」と言われて大映しになったら森田美勇人さんだった

*8:わかりにくいかもですがすごく萌えてるんです。光一さん…!

*9:リハでは岡本健一さんに振り写しをしたというつよし。そのそばを「いいんだよ適当で〜」と言って通り過ぎる植草さん

*10:終演後「劇用車」と書いてあり、サイレンを覆ったパトカーが水道橋を走ってました

*11:つよしが言ってたのかな?

*12:徹子の部屋は大好きです!!

*13:光一さんが「お前ら人数多すぎんねん!」と言ってて、それ彼らが頑張って増やしたから! センシティブなやつ…! と思った

*14:つよしが2回くらいいじって、光一さんが「時間ないんだから!」と言っておいて、「ごめん、鼻詰まってる?」と入っていく天丼芸。「デビューしてからやたら言われるようになった」と言っていた重岡さん

*15:光一さんのうしろにまっすーが映る度ものすごい歓声でまっすーはにやにやしていた

*16:光一さんが「いつものあれやってよ!」と促すもなんだかパワーが足りず、もう1回やらされていた。そして煽るために「手越ももう年取ったな〜」「中島健人に任せるか〜?」と言ってしまう光一さん。「いやいやいや!」とフォローする小山

*17:元日に「おれぶっこむの大好きだから、昨日も最後にぶっこんだ♪」と上機嫌な光一さん

*18:光一さん「あなたうまいこと言うね」

*19:年男メドレーとかやるのかな〜?と思ってたのに中継も何もなかった、俺らそういうことよくある…と次の日愚痴るKinKi Kids