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アイドルとバンドとLove-tune

ちょっと主語が大きいかもしれませんが、アイドルファンは、アイドルのバンド形式をあまり好まないように思います。といってもバンドが好きな人に喧嘩を売りたいわけではなく、逆に好きなバンドがライブで楽器を弾かず踊っていたらバンドファンもたぶん怒る。つまりはジャンルの違いなんです。自担のソロがギター弾き語りだったら正直ちょっとガッカリするし、「俺は本当はアイドルじゃなくて音楽がやりたいんだ」と言われると、じゃあダンスミュージック作ってくれ……と思ってしまう。

少年隊の東山さんが「男子がダンスをするなんてと驚いた」と言っていた時代から、「俺は音楽がやりたい」「いやいや、ファンはダンスが見たいんですけど」な時代を経て、今や2次元も2.5次元も踊り出すようになりました。ようやく「ダンスが見たい」という欲望も許されるようになり*1、アイドル音楽も音楽として肯定されるようになったように思います。そんな時代に現れたのが、Love-tune*2というグループでした。と言ったら、話が大きすぎるとは思いますが、それくらいの感じのテンションで進めていきます。

1曲の中でバンド×ダンスというスタイル

Love-tuneとは。私が現在のめり込んでいるジャニーズJr.の安井謙太郎が所属するJr.内のユニットで、真田佑馬(ギター)・森田美勇人(ベース)・萩谷慧悟(ドラム)という4人組で始まり、今はおそらく阿部顕嵐・長妻怜央・諸星翔希の3人が加わった7人組として活動しています。多分。ここらへんの人数についてのごちゃごちゃ話はややこしいので割愛。

Love-tuneの面白いところは、バンド×ダンスというまあちょっとした隙間を狙っているところです。これまでもジャニーズにはTOKIOKinKi Kids関ジャニ∞Hey Say JUMP、また古くは男闘呼組ザ・グッバイなどバンド形態でパフォーマンスを行うグループは存在していましたが、基本的にはがっつりバンドスタイルか、コンサートの中でバンドコーナーを設けるなどの形を取っていました。

対してLove-tuneは曲の途中で楽器を置いて踊り出す、またはダンスをしながら途中で楽器を持って演奏をしだす、というところに特徴があり、その是非は好みによると思いますが、少なくとも私は「こんな折衷案あったか!!」と驚いたのでした。つまり、アクロバットのような扱いで「演奏」が入って来るのです。ここぞという時にバック転をするように、曲のいいとこで楽器の演奏が入って来ます。もちろん、まるまるダンスの曲もあれば、まるまるバンドの曲もあります。

バンドスタイルでも動けるようになった

Love-tuneの面白さはそれだけではなく、先日行われたジャニーズ銀座、通称”クリエ”公演では、元からいた4人のメンバーに加えて3人の新メンバーが現れました。つまり7人編成になったわけですが、全員が楽器を持った*3のは1曲だけで、あとは演奏3人×ボーカル4人という形が続きました。これも裏の事情はわかりませんが、「アイドルがバンドをやるにあたって不満に思っていたこと」をまた一つ解消してくれるような気がしました。つまり、バンドをやってるとステージから動けない! 問題。

私はアイドルファン、とりわけジャニヲタはかなり飽きっぽいというか、贅沢ものなんじゃないかな〜と思っています。よくアーティストが「音楽性の違いで解散」という話を聞きますが、ジャニヲタは逆に同じような音楽が続くと我慢がならず、コンサートではダンス曲・バラード曲・ポップなアイドル曲などをどれだけバランスよく配置されるかということを重視する*4。「今回のセットリストの構成」がいつも議題として上がり「やっぱりあそこでバラードが続くと客の気持ちも途切れちゃうよね」「ダンスが続くのはいいけど、もうちょっとメリハリが欲しいよね」「外周を回りすぎて、一旦メインステでガツッとパフォーマンスして欲しかったよね」等と勝手に反省会を始めるわけです。

だからバンド形式でずっと前にいるとか、同じような曲調が続くとかだと、「音楽性に統一感がある」ではなく、「単調」と捉えてしまうよな〜と思うのですが、7人編成だと、4人が動ける! かといって、演奏の3人がバックバンドみたいになるわけじゃないんですよね。先ほどのたとえで言うと、”アクロバットができるメンバー”みたいな感じで、楽器をしている人が1曲の中でちゃんとフロントに立てるのがLove-tuneの良いところだ。

裏の話がわからないなりに、振付け師さんとかの力も大きいのだとは思いますが、実際にここらへんのバランスは本人たちもよくわかってるみたいです。

安井「”そろそろ安井も楽器を”っていう声があったりするんだけど、Remixで曲をやったりしてるからね。みんなが楽器を置きにいってる間、オレがその場をつないだりっていうことをやってるの。オレもそこで楽器持ったら、それこそ『ザ・バンド』のライブになっちゃう気がするんだよね。楽器をやるときは全員で、それが終わったら1回楽器置いて踊ってって感じで、なめらかな流れが作れない気がする」(「WiNK UP」’16 7月号) 

もうこれ、アイドルとして、頭が良い……。かといって小利口なわけではなく、実際にコンサートに行くと、大人なファンがもう、ちょっと笑っちゃうくらい全力で曲を弾いてみんなで歌ってるんですよね。青春がすぎてもう眩しすぎてな……。あとこれ、今までJr.内にあったバンドグループはけっこう先輩のバックバンドになってしまって1年中ツアー、みたいなことがあったから、全員が楽器をやらないスタイルは良いんじゃないかなと……。

先日の『ザ・少年倶楽部』で披露したFIRE BEAT*5は、ワンハーフ歌って6人が2×3のシンメになって真ん中に集まって、バッと散ったら真ん中に萩谷くんのドラムが登場してバンドスタイルに……という構成で、振り付けの一部に楽器が入っているようでなんだか胸熱になったものでした。6人でドラムを囲んでピースするのとかも、いやもうめちゃくちゃかわいいんですよ。

エンタメが認められる時代に

本当にロックバンドが好きな方からしたら、何か言いたくなるところもあるのかもしれませんが、アイドルファンからすると、これまでのアイドル×バンド形式に持っていた不満*6を解消してくれる上に、熱い気持ちにもなれるというなかなか画期的なスタイルな気がします。7人になったことで、”バンド”感よりも”ギラギラ”感の方が前面に来たのもプラスだったかも。一般受けするのかはさっぱりわからないですが、一度見るとクセになってしまうことは確かです。あと、みんなダンスもうまいから……。

これ冒頭でも触れましたけど、やっぱり今キラキラしたものを見たいと思っても叩かれないようになり、「アイドルなんて女子供に媚びを売っているもの」という意見から「人を楽しませるプロは素晴らしい」という見方をしてくれる方も増えてきているように感じます。アートも素晴らしいし、エンタメも素晴らしい。そんな風に思う人が増えたから出てきたであろうLove-tuneというユニットを、見ていたいなと思うわけです。もっと言うなら、別に今後このスタイルじゃなくなっても構わなくて、今こういうスタイルを生み出せるLove-tuneというユニットが好きだし、信頼できるという気がします。

まあ、パフォーマンスに技巧を凝らすよりも、とにかく雄としてかっこいいグループが一気に熱狂されることの方があるかなーとも思うんですけど、私はどうしてもこういう芸の細かいグループが好きなんだと思うのでした。

*1:いやもっと遡ったらいろいろあるかもしれないけど。戦国武将の舞とか……

*2:読み方はラブトゥーン

*3:ギター顕嵐、キーボード長妻、タンバリン諸星

*4:そう言ってもなんかグループのカラーはできていきますが

*5:ちなみにこれ「KIS-MY-WORLD」に収録されてる「FIRE BEAT-Remix by DJ FUMI YEAH!」ってやつですね

*6:だから今TOKIO以外が根付いてないのかな〜…