芝浦ブラウザー@東京グローブ座(2011.05.16 13:00〜)

見てきました〜グローブ座久しぶりかもしれない。いや面白かったです!!

全体的に、大きなお話の流れはありつつ、ゆるゆると住人の生活に沿って細かいコントを楽しむような話。でも、なんといったらいいのか…決して何もないわけではないんですよね。個々の人がゆるくつながっていつの間にか全体像ができあがってたり、そういった一人ひとりの生活を細かくつっこみながら見るからこそ、最後の藤田君のせりふが観客にも実感として伝わってくる。「あ〜 ちゃんと暮らそう!」って思わされました。ちょっとツイッターとかの感覚にも似てるかもしれません。

それにしてもよくあんな緻密に舞台装置を構成できるもんだ…。舞台全体眺めてるだけでかなり楽しい!しかも舞台上で料理するにおいまでただよってきて、これは、生で見るのが一番楽しいだろうな。においってすごくて、これでかなり舞台上と客席の境目があいまいになるんですけど、舞台自体も「ブラウズする人」の実況・解説から成り立ってるので、やっぱり客席は「見てる人」なんですよね。舞台上に肉薄しながらあくまでも覗き見してる…って感覚が面白いです。

終演後はカーテンコールで出てきて、少し話してくれました。うれしかった!そして近いわ!うろ覚えですがこんな感じ。

井「えー芝浦ブラウザー、みなさんいかがでしたか」
客「(拍手)」
男性「ブラボー!!」
井「…まあ、春なんでね。ああいう人もいるかと」
客「(えっそんな言い方!?って感じでざわざわ)」
ステージ上もなんか顔を見合わせて笑い出し、イノも笑い出す
井「ぃえっ?(笑)まあ(笑)ぜひ2回3回と見ていただけたら。見るたびに発見もありますし。あと、募金箱もあるので、よろしくお願いいたします」

2回3回といわれてももう東京公演がほとんどない〜!もう1回、安い席で見てもよかったかもなあ。ぜひまたDVD化してほしいですね。

以下ネタバレ?舞台というか井ノ原さん感想


あんまりこういう感想はフェアじゃない?って思う*1のですが、たまたま、前にほぼ同じ設定のWindows5000を見ていたので、イノハラが入ってどう変わるのかな?と思っていたのです。

※話自体ぜんぜん違うし、ギミックが大幅にパワーアップ且つきれいになってたりしてます。

比べてみると、芝浦〜の方が物語がまわってるんですよね。Windows〜の方は、もっとずっとあの住人たちの暮らしとそれに対するつっこみが続いていきます。芝浦〜は、いのはらさん演じるふじたさんが、新しい住人になるという展開。外からつっこんでいた住人の行動に、入り込んでいってどんどん新しい視点を入れていく。まあその分、「ブラウズ」感が減っている。「ブラウズする」という設定自体の面白さを最後まで生かしたのがWindows5000で、そこにフジタさんを加えて物語をもうちょっと動かしたのが芝浦ブラウザー、という印象です。

今回の舞台が、エチュードを使用したほぼ役者の「あて書き」だそうです。あて書きといっても安易に「○○ぽい」キャラクターを作ったり、内輪ねたを盛り込んだりするわけでなく、「こんな時に○○だったらどういう行動をするか」という点であてているということでしょう。となると、面白いのは、いのはらさん自体に、物語を動かしたりする力があるのかなというところです。まあそら主演補正はあるだろと言われたらそれまでですが*2、やっぱりあの中でのイノハラさんは華があって、注目せずにはいられない存在なわけです。*3どんどん新しい視点や行動を入れていって、世界を押し上げていく、物語が動いていく。そういう役割の人なんだな〜と。そんな発見のあった舞台でした。

*1:物語は物語の中の世界だけで完結してほしいので

*2:そんな風にしか解釈できない人は、損してるなーと思うけど

*3:ヨーロッパ企画の役者さんたちも大好きです