井ノ原さんの作る詞が好きだな、という話

めずらしくも、井ノ原さん38歳のお誕生日(5月17日)にむけてブログ更新したい☆と思った訳ですが、全然むりだったね。やられたね。でももったいないから、アップします。

 
作詞作曲をするジャニーズもたくさんいるわけですが、実は私は井ノ原さんの作る詞が一番好きかもな〜と思ってます。意外と淡々としていて、自意識が低めで、短編小説のような物語性があるんですよ。いくつかお気に入りをピックアップしました。
 
Working man (20th Century ベストアルバム『Replay〜Best of 20th Century〜』収録)
 
「Hello Mr.Working Man」と、働いている人に向けた応援歌といった体の歌です。作詞は20th Centuryになっています。3人がそれぞれ書いて来た物をひとつにまとめたらしい。普通にサビを聴くと、サラリーマンを応援しているのかな…という印象で、実際歌番組もスーツ姿で出たりしていました。でもよく歌詞を読むと「汚れてる oh 街を守るため 立ち上がってよ」「滅んでく街を見つめて」とかけっこう物騒なこと言ってるんですよね。ヒーロー的な人物の話と想像しても面白いし、働いてることが社会につながってくよー的に解釈して自分に重ねても良い。ただ、ここらへんのスパイスが皮肉としてきいて、ただの応援歌で終わらない広がりを感じさせるんです。
 
私が好きなのは大サビの一節です。
 
Take My Hands Take My Soul 滅んでく街を見つめて
ヘラヘラ笑ったヤツらを Hey Hey
Take My Hands Take My Soul カモンカモンほら Working Man
笑い返してやるんだろ Hey Hey
Take My Hands Take My Soul でっかい空見て Working Man
最後に笑ってたいだろう Hey Hey
 
1番でも「上から見下ろしたいだろ」と入ってくるんですけど、このWorking Manに対する愛情と「がんばれ!」って言わないシニカルな鼓舞が気持ちいい。現状だめだってことは認めた上で、そこから少しポジティブに這い上がろうって言ってるんですよね。「最後に笑ってたいだろう」って歌うアイドル、すごくかっこよくないですか?
 
■絶妙Music! (V6 LIVE DVD 『10th Anniversary CONCERT TOUR 2005 “music mind”』収録)
 
これは2005年の10周年コンサートで披露した井ノ原さんソロ曲で、Hey! Say! JUMPも1回歌ってますね。込められたテーマはこの一節が一番わかりやすいと思います。
文字よりも空気を読めないことの方が罪な世界で
せめて音楽を流すタイミングだけは外さないでくれ
そう、これもまた現実に対して諦観した上のポジティブさが表れてる。だからなんでこの歌をデビュー時のJUMPちゃんが…と不思議に思ったのでした。実際はダンスなどあわせてとてもかわいらしく仕上がっていたそうです。詞にこめられた皮肉さもデビュー時のJUMPちゃんはものともしなかったようでそれもすごい。
 
この歌については「ハンドルを握るその両手はかなり震えていたようだ 彼は走行中にも関わらず妙に挙動不審なドライバー」と小説みたいに始まるところも好きです。井ノ原さんの書く詞は、三人称であっても二人称であっても一人称であっても、ある程度離れた視点から描写されているのが特徴だなと思います。
 
■bird cage (20th Century シングル『Precious Love』収録)
 
これも名義は20th Centuryです。学校へ行こう!でやっていた「高校生夫婦」*1というコーナーをイメージして作ったらしい。どうやって3人でつくったの?と謎なほど、ちゃんと構成された詞なんですよね。
 
簡単に言えば同棲していた男女の別れの歌、なんですけど、言葉を追っていくと「雨」がひとつ重要になっていることに気づきます。2人がつきあっているときの描写にはすべて雨が降っているんです。
 
「表は急に降り出した夜の雨さ」
「水たまりよけて歩いてた僕らは 完璧だった」
「『明日は晴れるかな?』って笑いかける」
そして、大サビの「雨がやんで なんとなく 二人別れた」とつながるわけです。かごの中の鳥だった二人は、雨がやんだら外に羽ばたいてしまった。なんてきれいな。
 
この詞はおさえた筆致がとても大人だな〜と思います。そのくせ内容としては「大袈裟なポーズで 僕を誘う君は 闇雲に先を急ぐ」「背伸びした二人を尻目に」と若くてちょっと性的なイメージが入ってくるギャップ。おかげで、一人称なのに入り込みすぎず、ある程度はなれた場所から語っているような井ノ原色が出ているように思います。
 
■アップルパイ (V6 LIVE DVD『LOVE&LIFE 〜V6 SUMMER SPECIAL DREAM LIVE 2003〜)
 
音源化が待ち望まれている良曲…。2003年のコンサート「LOVE&LIFE」で披露されました。2001年の20th Centuryディナーショーで初披露だったらしいです。一言で表すと「彼女と喫茶店でアップルパイを食べる歌」。「いい意味でテーマがせまい」は井ノ原詞の特徴2として挙げたいところです。特に恋愛の歌は、ワンシチュエーションのラブストーリー(コメディ)っぽいですね。
アップルパイについて語る君は もう3時間も熱くなったまんま
アップリケのついたかばんが揺れる そんな春の午後です

アップルパイについてずっと語る君…ちょっと不思議ちゃんですけど、たたみかけられるアップリケや、Aメロで出てくる「ナウな喫茶店でりんごジュースを飲む」「音符のストローも忘れずに」といったフレーズで、カントリー風少女マンガの世界が成立しています。このバランス感覚がすごい。

 
■I’m so happy and high (20th Century LIVE DVD『20th Century LIVE TOUR 2008 オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ』収録)
 
これも音源化を強く強く待ち望んでおります…。2003年と2008年のトニセンコンサートで披露した曲ですね。一言で表すと「好きな子と自転車で二人乗りする曲」。つい愛とか恋とか君が好きだとか作ってしまいたくなりそうだけど、テーマとシチュエーションをしぼりこんで描写することで自然とラブな空気が出ています。
最速33キロの僕のマシンに君を乗せるよ I'm so happy and high
幸先良すぎる展開に戸惑いながらも風を切るよ I'm so fool and free
この歌、1回も「自転車」って言わないところが心にくいです。かわいいな〜。
 
■おっイェイ!(V6 アルバム『Voager』収録)
 
こちらは、V6のアルバム『Voyager』通常盤の『グッデイ!! (歌いわけ変えましたVersion)』に入っているシークレットトラックです。タイトルは公開されていませんが、JASRACのページで検索するとタイトルが出てきます。
自分で全部できると思ってた
でも 仲間がいなけりゃさびしくなっちゃうよ
「一人で生きていけると思っていたあのころ でもやっと気づいたんだ 仲間の大切さ…」みたいな書き方もあると思うのですよ(私のセンスのなさはおいといて…)。そこを「さびしくなっちゃうよ」と言うのが良いですよね〜。仲間がいなければ何もできないというわけでもなくて、「さびしくなっちゃう」の。距離感がちょうどいいし、大袈裟なこと言わないからすっと入ってくるんですよね〜。これ、6人で歌ってるのめっっっちゃかわいいから…。
 
他にも、井ノ原さんがメンバーに作った曲とか含めてすてきな曲はたくさんあります。だらだら書いていたらけっこう長くなっちゃってすみません。いつか井ノ原Pのミニアルバムが手にはいることを夢見て…。何かの特典とかでもいいから。

*1:高校生が結婚したい! と言いだし、番組の企画として同棲させた