【導入編】千年メドレーを千年保存する会

千年メドレー……そのイントロを聴くだけで、ある一定以上のジャニオタは血湧き肉躍るという。一時期は「アンダルシアに憧れて」と並ぶほどいろんなジャニーズが披露した曲でありながら、ここ数年は披露されていない名曲。我々はこの千年メドレーを保存したいと考え、定期的にカラオケパセラで千年メドレーを鑑賞する会を開いており、その中で集めた千年メドレーの知識を今書き記しておこうと思ったのが今回の記事です。ピンと来た方はお付き合いください……。

千年メドレーとは?

1990年の舞台『少年隊PLAYZONE’90 MASK』の中で東山紀之さんによって披露されたナンバー。「千年の季節」「Ever Dream」「ALL THE WORLD IS A STAGE」の3曲からなり、雅楽を思わせるようなちょっと和っぽいアレンジが特徴的なメドレーです。

千年メドレーがここまでジャニーズ、およびファンに語られるようになったのは、その振り付けによるところも大きいでしょう。ジャニーズのダンスは基本的に「かっこよく見える」ことを主眼においたものですが、どちらかというと「世界観を表現する」ことを重視した、コンテンポラリーダンスのような雰囲気も持っているのがこの千年メドレー。嵐の大野智さんは、こんな風に語っています。

踊りで行ったら大抵の曲って3分4分とかじゃない? 1曲やるの。当時の東山さんのナンバー、千年メドレーというのがあってですね、それがね、フルで8〜9分くらいあるのよ。で、ずっとがっつり踊ってるの。でも当時はそれが踊りたかったの。かっこよかったから。

で、踊ったことなかったの。で、よく少年隊のミュージカルとか見てるだけで覚えちゃうの。好きだから。京都の舞台に少年隊の東山さんが来た時に、大野お前踊るからって「えっえっいいの!?みたいな。で、もう一人*1と俺と3人だけだったの。で、いいの!?まじすか!?みたいな感じじゃん。

で踊った後倒れたよ。で僕らは止まってるんだよ、ハアハア言ってるんだけど、東山さんその後普通の顔して台からバク宙してた時はびっくりしたからね。このひと何者なんだみたいな。そんくらいのナンバーだったんですよ当時は。そんくらいすごかったんですよ。

(2014年08月13日 大野智 ARASHI DISCOVERY

単純に「舞台の中で約10分踊り倒す」というのだけでも、どれほどすごいか、ジャニーズファンならばよくわかるでしょう。

千年メドレーの不思議

実はこの千年メドレー、なかなか不思議が多く、そのためにファンの間でも認識がバラバラになっていることが多いんです。幾つかの謎についてまとめました。

 

  • 不思議1 消えた「千年の季節」

1990年に披露された大元のメドレー構成は「千年の季節〜Ever Dream〜ALL THE WORLD IS A STAGE」という3曲で、「千年の季節」から「千年メドレー」という名前が付いているのですが、歌い継がれるうちに「千年の季節」が消える事態となっています。千年メドレーの歴史の中で、この「千年の季節」を歌った後輩はなんと2005年の村上信五のみ!!まさかすぎる村上信五。ダークホース村上信五

ちなみに、この曲が収録されているアルバム『少年隊PLAYZONE’90 MASK』でのトラック名は単に「メドレー2」であり、「千年メドレー」と称されるようになったのは、後の出来事のようです。そして「メドレー1」はBaby Baby Baby〜HEAVEN〜Baby Baby Babyですが、こちらも何気に2015〜2016年の舞台『JOHNNY'S World』や2004年の『Summary』などで披露されています。*2

  • 不思議2 歌詞違いバージョン

千年メドレーの3曲目、実は歌詞違いの「She’s a Woman」バージョンと、「ALL THE WORLD IS A STAGE」バージョンが混在しています。

She’s a Woman
サビが「Everybody 悲しいね 仮面をつけたまま」で始まって「She’s a Woman」で終わる。恋愛っぽい内容。

・ALL THE WORLD IS A STAGE

サビが「ひそかに震えてる 仮面をつけたまま」で始まって「IT'S A SHADOW」で終わる。舞台っぽい内容。

後輩たちの披露するものも両バージョン混在しており、ファンはみんな自分が接した千年メドレーで覚えるため、余計にごっちゃになってしまうんですよね。

細かく見ていくと、1990年6月に発売されたプレゾンのサントラCDが「She’s a Woman」バージョンで、7月からの舞台が「ALL THE WORLD IS A STAGE」バージョンですので、CDを収録した後に舞台の内容に合わせて歌詞の変更が行われたのではないか? などと考えられます*3。東山さんがステージ上で披露したのは「ALL THE WORLD IS A STAGE」バージョンのみだと思います。

そう、「ALL THE WORLD IS A STAGE」といえばシェイクスピア「お気に召すまま」のセリフとしてよく知られており、実は90年MASKでは「千年メドレー」の前に「全世界は一つの舞台 人間はそこで動き回る役者に過ぎない」と東山さんのナレーション*4が入るのです。ちなみにこのセリフ、JOHNNY'S Worldのシェイクスピアでも出てきましたね。

そして、この千年メドレーの後に披露されるのが、少年隊3人による和装ハムレット。演出は蜷川幸雄。一連の流れが、シェイクスピアを意識したものとなっているので、歌詞を変えた、というのも十分ありそうな気がします。なんだか色々感慨深くなってしまう。

しかし…「ALL THE WORLD IS A STAGE」の歌詞、「今僕らのステージの輝きも ときめきだけを あぁ感じるための 幻さ いつか消える」って、改めて読むとなかなか胸に痛いやつ。

  • 不思議3 元曲?との関係

千年メドレーが林田健司さんの曲であり、「Ever Dream」は「Heart Of Gold」、「All The World is A Stage(She’s a Woman)」は「Jealousy In Love」というシングルとして発売されているのはよく知られているところですが、実は世に発表されたのは千年メドレーの方が先なんです。千年の元曲があるというよりも、林田さんが少年隊に提供した曲を、シングルとして発売したと言った方が良いのかもしれません。

もしかしたら林田さん1990年より前、デビュー前などすでにライブで歌っていたのかもしれないですが、どちらにしてもシングルカットするほど気合いのはいっていた楽曲であることはまちがいないでしょう。ちなみにKinKi Kidsは、歌番組「アイドル・オン・ステージ」で「Heart Of Gold」も披露しています。バックについているのは長野博だよ!

導入編はここまで。次回、歴史編に続く予定です。年表も出てくるよ。

*1:原知宏

*2:アレンジはだいぶ違う

*3:ここに言及している資料などあったらとてもうれしい……

*4:正確に言うと、ジャニーズ舞台おなじみのでかいMASKがしゃべるやつ