ABC座2013 ジャニーズ伝説 @日生劇場 10/14 13:00〜

「ジャニーズ伝説」と銘打ったこの舞台。1幕分を使って、これまであまりフィーチャーされることのなかった「ジャニーズ」というグループのエピソードを紹介している…というところに、大きな衝撃を受けました。長年ジャニヲタやってるけど、ジャニーズ事務所は生まれた時から存在してたし、ジャニーズというグループが活躍していた1960年代って映像資料がそんなにないからか、TVで紹介されるにしてもさらっとしがちじゃないですか。また、現在の事務所の一番「兄貴」がマッチさんだから、ジャニーズやフォーリーブスがどういう存在かあまり考えたことがなかったのです。1960年代からのガチの「ジャニヲタ」に話をきいてみたい…あおい輝彦コンにいったら会えるのかな?



最近舞台のあらすじとか検索することあるので、全部書いちゃってますよ。

あらすじ
1966年*1、人気アイドルグループジャニーズの4人は公園で1人の少年に出会う。「ジャニーズが世界で活躍する姿が見たい」と望む少年の声を受け、少年の兄に導かれ渡米する4人。そこにはアメリカのショービジネスに関わる様々な大物との出会いがあった。全米デビューのためにレコーディングを進めるが帰国の時はせまり、日本に戻らざるを得なくなる。もう一度アメリカに渡ることを夢見て活動を続ける4人の耳に飛び込んで来たのは、アメリカでレコーディングした曲が他のグループに歌われ、全米1位をとったという知らせだった。もう1度アメリカにいきたい、でも日本のファンが待っているなかで渡米はできない…という状況に、彼らがとった決断は「解散」というもの。夢が叶わなかったわけではなく、当時日本のショービズ界で誰も見たことがなかったアメリカでの夢を見れた彼らは、十分な伝説を残したと満足しての解散だった。そして、4人の最後の舞台を見届けて少年も息を引き取る。

ジャニーズの4人が撒いた種を、フォーリーブスが育て、少年隊が咲かす…花開いたジャニーズ事務所は、3グループに続くように多くのグループがそれぞれの伝説を残していた。まさに今続こうとしているのがA.B.C-Z。A.B.Cとして活躍していた4人に橋本を加え、新たな伝説を作り出そうとしている。

ジャニーズ舞台のベースはやっぱり1960年代なの??

自分が生まれる前の、映像ですらほとんど接したことのないジャニーズの話をきいていると、ジャニーズが伝統芸能のように思えて来ます。いや、伝統芸能というのは西洋文化が入る前の芸能のことを言うらしいので意味的には違ってるんですがニュアンスとして…。例えば1幕のなかに、ジャニーズが1966年の渡米時チャールズ・ストラウスに会い、今も歌いつがれる「Hello Broadway」「Let's go to tokio」を授けられ歌う場面があります。以前JOHNNYS' Worldの元ネタを探したときに1960年代のものが多いということに触れましたが、これも1960年代のものかもしれないことが発覚したのです。もしかしなくともジャニーさん舞台って、1960年代に流行っていたショービズ世界が下敷きで、新しい演出技術を取り入れながら50年続けているのではないのか。それってなんか…伝統芸能ぽくなーい?って…。ジャニワまとめのときは、出ている映像やWEBで拾えるレポートから、使われている曲は少年隊PLAY ZONEが元になっていることが多いのだろうと結論づけたのですが、ジャニーズやフォーリーブスの舞台が初出のものだってあったのかもしれない、と思ったときに気が遠くなりそうでした。歌舞伎などと比べたらたかが50年、でも生まれる前のできごとなんて200年前も50年前も一緒です。誰か、ジャニーズ史をまとめてー。もしくは仕事後のボランティアでもいいので編纂のため資料庫に呼んでくださいジャニーズ事務所さん。


そうやって考えていくと、もしかしたら2幕の「ジャニーズが種をまき、フォーリーブスが育て、少年隊が花を咲かせた」という言葉自体がジャニーさん舞台のことをさしているのかもしれませんね。なんで郷ひろみ近藤真彦が入ってないんだろ?と思ったけど、舞台面での話というなら納得がいきます。*2そこにA.B.C-Zのストーリーがつながっているというのは、とてもすごいことなんじゃないかな。

ジャニーさん不在の伝説

もう1点気になったのは、特に1幕でのジャニーさんの不在です。別に描かれなくたってもちろんかまわないのですが、事前情報として実話であると煽られ、ジャニーさんにとっても青春だったという話も出て、あおい輝彦本人が語りをつとめているけど、伝説としては「4人」の伝説だということはちょっとだけ気になります。マネージャーすら出てこないのですよね。でもこの図式って、ふだん私たちが見ているグループの形に似ています。基本的に、ファンが見るジャニーズのグループというのは、本人たちがやったことのみ語り継がれて、周りにいる他の大人についてはふわっとしていることが多い。もちろんジャニーさん伝説とか、関わったクリエイターの方々の話とか、マネージャー話とかあるにはあるけど、マネージャーはたいてい異動しちゃうし、クリエイターはその場のつきあいだし、社長ですらその意志が表に出ることはあんまりない。結果として、「グループの物語」はメンバーのみの物語として残るのです。これは、女子アイドルが「運営」「マネージャー」「プロデューサー」という存在とセットに見えるのと、対照的なように思います。女子アイドルのことをあんまり知らないので、ちがうとこもあるよという話であればすみません…。


本当はそこにいるはずなのに、実態のつかめないジャニーさん。その姿が少しだけ見えた…ように見せていたのが「JOHNNYS' World」でした。ジャニワのプロデューサーは、舞台中に「戦いをやめよう」と言った山田くんに対して「歴史がくるってしまう!」と乱入していきました。はからずもその台詞から、プロデューサーが舞台づくりを通して歴史をつくろうとしていたことが判明してしまったのではないでしょうか。だとすれば、この「ABC座2013 ジャニーズ伝説」もまた、歴史を作って定着させるという試みであり、そのなかにジャニーさんの存在は必要ないということなのかもしれません。じゃあなんでジャニワにはプロデューサー役がいたんだというのは…わからない。笑


ジャニーさんの意図を探るというのはただのエスパー行為なので、観客にできるのは舞台を解釈するということのみですが、虚実入り交じった舞台として、上記のような印象を受けました。

その他舞台の印象

えびさんについては、身体能力の高さ、歌うまい、舞台勘のよさにすげー! としかいいようがない。塚ちゃんが連続バク転するときに、でかい旗をくぐらせるやつ(説明べたですみません…)を見たあと、五関さんも四肢をつかまれてぶんぶんされてさっきの旗のようになっており、その上下を人が飛んだりはねたり、なんだこれポカーンでした。な、なにを言ってるかわからねーと思うがry


新技という5ringsもすごいことになっていました。私が見た回では、たぶんとっつーが一度力つきて?バタンって落ちてしまってたんですよね…なんて過酷な。過酷といえば、自分たちの話として毎日毎日「お前のやる気はどうなんだ(うろ覚え)」「センターとして期待している(うろ覚え)」と声をかけられるはっしー、「あの頃橋本の気持ちを考えず気持ちを押し付けてしまっていた(うろ覚え)」と述懐させられる塚ちゃん河合さん…当時のことあんまり知らないから、そんなことがあったのかと驚きましたし、自分たちの物語を演じるのってしんどそうだなと思ってしまいました。V6でいったら、剛つんが自分のせいじゃないけど遅刻してしまって、坂本さんが謝れ! と髪ひっつかんだシーンを毎回再現するみたいなもんでしょう!?おそろしい舞台だ。こうやって「伝説に続きます」と言ってしまうと、自分たちのやっていることがすべて物語化されることに、自覚的になりそう。


えびさんたちもすごいんですが、2幕うしろで流れる少年隊の映像も…!「One Step Beyond」やばい。もともと、KinKiがメドレーで歌ったり、博がソロで歌ったりしていたので好きだったこの歌、かっこよすぎました。高校の友達(なべしょ担)も、全然別の用事であったときに「カズキヨやばい!!」って言ってた。「急げ!若者」のPVも夢中になって見ました。歌ってたのが噂のカウアンなんですね。アンダルシアの後がまにぜひ「急げ!若者」を!と言っていたけどガチで最近めっちゃ歌ってるらしいじゃないですか。今よみがえる急げ若者。


そういえばおなじみ「Hello Broadway」「Let's go to tokyo」に加えて「SHOCK SWING~TOUR~」歌ってたのでびっくりしました。車がバッグになるところ、「これお気に入りなんだ〜」ってところ、こないだビデオで見た少年隊のPLAYZONEでもやってたよ!


ジャニーズの当時の写真とか貴重そうなので、写真集とかにされたら買ってしまいそう。途中スライドショーによるハイパーあおい輝彦タイムがおもしろすぎてやばかった…かっこいいけど面白い…。

*1:1965年だったかもしれない

*2:バックの映像はTV出演のものでしたが…